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倒産法

A. 民事再生法

1. 要点

(再生債務者)
債務者は、再生手続開始後も、業務を遂行し、財産を管理する(38)。(この点は、役員が、原則として、更迭される会社更正と違う。)手続は、債務者代理人弁護士が主役となって進める。
ただし、従来の役員に対する損害賠償請求がなされたり(142)、債務者の財産管理権が剥奪され、管財人が選任されることもある(64)。

 

(保全期間)
申立てから開始決定までの保全期間中に新たに発生した売掛金や貸金の保護のために、もし開始決定が出ずに破産に陥った場合にも他の破産債権に優先して弁済されることとされている。

 

(担保権)
担保権は手続外で自由に行使できる(53)。ただし、担保権の行使たる競売手続を一時的に中止させることができる(31)。
担保権を実行されないように個別の担保権者と返済方法について「協定書」を取り交わすことが多い。

 

(担保権消滅請求)
オーバーローンになっている財産が「事業の継続に欠くことのできないときは」その財産の現在価額を支払って担保権の消滅を請求できる(148)。「事業の継続に欠くことのできない」とは、営業譲渡のためのときは可能であるが、遊休資産売却のためのときは該当しない、と解されている。

 

(営業譲渡)
手続開始決定のあとは、(株主総会の特別決議を要せずして)裁判所の許可により、営業譲渡ができる(43)。

 

(債権者)
債権届は、期限を守らないと、失権することがある(94、81)。
相殺も債権の届出期間以内にしないとできなくなる(92)。
債権放棄の無税償却を受けるためには、特定調停を利用する方法がある。

 

(労働福祉事業団)
労災保険の対象会社の社員ならば「倒産前6ヶ月以内から倒産後1年6ヵ月までの間に退職した従業員の未払い給与と退職金 」1を立替払いして貰える。1ただし、1一人300万円まで。

 

(退職金)
開始決定が出た後リストラなどの会社都合で辞めた方が退職金が共益債権となって従業員に有利である。

 

(賃貸人が再生債務者である場合の賃借人からの相殺の制限)(平17からの改正)
賃借人は、手続開始後6ヶ月間の賃料の限度においてのみ相殺できる。
敷金返還請求権は、 手続開始時の賃料の6ヵ月分の範囲でのみ共益債権となる。(92)

 

(再生計画)
無担保債務の2~2割を10年程度で分割弁済するとの計画が多い。7~8割の債務をいつの時点で免除にするかは、税法上の免除益をどの時点で計上するかとの関連で重要である。

 

(減資・増資)
債務超過の場合は、株主総会の決議がなくとも再生計画案で減資を定めることが出来る。
増資をするには、取締役の決議でよいが、株式譲渡に取締役会の決議を要すると定款で定めている場合(譲渡制限会社)、株主以外に新株を割り当てるには、株主総会の特別決議を要する。それに代わる裁判所の許可でできるように改正された。

 

(再生計画の取消し)
未履行部分全体の10分の1の履行が遅滞したとき、債権者は、再生計画の取消請求ができ、その場合、再生計画が取り消され、債権は原状に復する(189)。

 

(税務)
「債務免除益」と「役員による私財提供益」は、益金として課税される。
評価損で相殺できる場合はある。
「青色欠損金」で相殺できるが、過去5年分に限られる。
「特例欠損金」で相殺できる。過去5年分に限られないが、相殺の対象は前記2者に限られる。
営業譲渡によって生ずる譲渡損を用いて債務免除益を相殺する場合がある。

 

(「民事再生」の項終了。個人の「小規模個人再生」については「高利の借金」の項で述べた。)

 

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B. 破産法

1. 破産の、契約関係に及ぼす効果

双方未履行双務契約について、破産管財人は、契約を解除するか、契約を続行するかの選択権を有する(53)。

 

以下はその例外である。

 

(1)賃貸借契約

(イ)賃借人の破産 
民621は、廃止(民276、266条1項は一部廃止)され、特別の規定はなくなった。その結果、破産しても賃料を払っている限り、居住を継続できる。
(ロ)賃貸人の破産
対抗要件を備えた賃借人を解除することはできない(56)。
賃借人は、敷金の範囲内で賃料の支払い額の寄託を請求できる(70)。

 

(2)請負契約

(イ)注文者の破産
請負人も解除できるが、その場合、損害賠償請求権は破産債権にもならない(改正民642)。
破産管財人が解除する場合、請負人は、すでになした仕事の割合に応じた報酬の請求をすることができるが、破産債権である。

(ロ)請負人の破産

現行64条を削除し、特別の規定はなくなった。
契約を解除する場合、注文者の前払金返還請求権は、財団債権となる。

 

(3)電気・ガス・水道などの継続的供給契約

供給者は、破産手続開始申立て前の給付について破産者による支払いがないことを理由として供給を停止することは出来ない。それまでの未払い代金債権は、破産債権となる。 (最後の6ヵ月分は、個人破産の場合、優先的破産債権となる(民310)。申立てから破産手続開始決定までの代金債権は、財団債権となる。(55)

 

2. 担保権

(担保権消滅請求)
破産管財人は、被担保財産を担保権つきで第三者に譲渡することはできる。その場合、その第三者が「民法上の抵当権消滅請求」(民378-386)を行使することになる。

破産管財人は、被担保財産を競売に付することもできる(184)。しかしこの場合は、買い叩かれるのが普通である。そこで、破産管財人は、任意売却をして「破産法上の担保権消滅請求」をする。

(イ)売却先、売得金額(諸費用を除く)、破産財団組入れ額(従来、売買代金の3-10%が相場であった。)を記載して裁判所に担保権消滅の許可の申し立てをする(186)。

(ロ)金額に不満のある担保権者は、競売の申立てをする(187)か、または売得金額の105%以上で買取を申し出る者(自分でもよい。)を探してきて、買取申し出金額の20%の保証を提出させなければならない(188)。

 

(留置権(66))
民事留置権は、効力を失なう。
商事留置権は、特別の先取特権とみなされるが、他の特別の先取特権に後れる。
破産管財人は、被担保財産の価額を支払って商事留置権の消滅の許可を裁判所に申し立てることができる(192)。

 

3. 優先的に支払われる債権

(1)租税債権
・(法定でなく具体的)納期限から1年を経過していないものは、財団債権(146条1項3号)
・それに対する延滞税も同様(97条本文)
・それ以外は優先的破産債権(98条2項)
・それに対する延滞税は、破産手続開始までの分は優先的破産債権、その後の分は劣後的破産債権(97条3号、99条1項1号)
・加算税は、劣後的破産債権
・破産財団の所有・換価に基づいて課されるものは、財団債権(148条1項2号)(在庫品販売に対する消費税、法人市県民税、固定資産税、自動車税など。)
・破産手続開始後の原因に基づくものでこの財団債権に属しないものは、劣後的破産債権(97条4号、99条1項1号)

 

(2)労働債権
・破産手続開始決定前3か月分の給料は、財団債権(149)
・手続終了までに発生する退職金は、退職前3ヶ月分の給料に相当する部分まで財団債権(同)
・それ以外は、優先的破産債権(98条1項)
・この優先的破産債権は、裁判所の許可を得て、最初の配当期日前において支払われることができる。(101条)
・申立代理人としては、解雇予告手当、3ヶ月前の未払い給料など財団債権にならない部分から優先的に支払っておくように配慮すべきである。
・破産管財人は、以上の支払について源泉徴収義務を負わない扱いである。

 

4. 否認権

(1)詐害行為の否認(160)
破産者が破産債権者を害することを知ってした行為(担保の提供または弁済を除く。)は、否認できる。ただし、相手方が他の債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
過大な代物弁済は、過大な部分のみ否認できる。
支払停止より6ヶ月前以後になされた無償行為は否認できる。
相当の対価による財産処分は、受け取った金銭などを隠匿するためになされたときにのみ否認できる。

 

(2)偏頗行為の否認(162)
既存の債務のための担保の供与又は弁済は、支払不能の後のものに限り否認できる。ただし、相手方が支払停止のあったことを知っていた場合に限る。
非義務的なものは、支払不能の前30日までの分まで否認できる。ただし、相手方においてその行為が債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

 

5. 相殺の制限(規定の追加)

(1)破産債権者は、破産者が「支払不能」となった後に、契約(不動産の売却、銀行の預金契約、振込指定・代理受領の契約など)によって負担する債務を「専ら」破産債権をもってする相殺に供する目的で、破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、その締結の当時、破産者が支払不能であることを知っていたときは、相殺できない。(71条1項2号)

 

(2)破産者に債務を負担する者(例えば銀行の預金払戻債務)の有する破産債権(例えば救済融資)が、「破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約」によって発生したものであるときは、相殺できる。(72条2項4号)(その他割引手形の買戻請求権、貸し金庫手数料など)

 

6. 罰則

破産者又はその親族などに破産債権を弁済させ、又は保証させる目的で面会を強請し、又は強談威迫をしたものは、3年以下の懲役などに処せられる。(275)

債務者が特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で担保の供与をし、又は弁済をした場合であって、それが債務者の義務に属しないものであるときは、5年以下の懲役などに処せられる。(266)

 

(「改正破産法」終了。個人破産については、「高利の借金」の項を見よ。)

 

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C. 特別清算

 

 

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D. 任意整理

1. 弁護士費用

(1)着手金 50万円以上(資本金、資産、負債、債権者の数などによる。)

 

(2)報酬
(イ)弁護士が債権取立て、資産売却などにより集めた配当源資額につき

500万円以下の部分 15%
500万円を超え1000万円以下の部分 10%
1000万円を超え5000万円以下の部分 2%

(ロ)依頼者および依頼者に準ずる者から任意提供を受けた配当源資額につき

5000万円以下の部分 3%
5000万円を超え1億円以下の部分 2%

 

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