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知的財産法

A. 特許

1. 職務発明の対価

職務発明は、発明した従業員に特許権を取得する権利が認められる一方、会社には無償の通常実施権が与えられる(特許法35①)。

発明者が職務発明を会社に譲渡したときは、「相当の対価」を会社に請求できる(同③)。

「相当の対価」とは、会社が他に実施権を許諾する場合には、実施料収入のうち、会社との関係で発明した従業員の貢献に帰せられる部分といってよい。会社が自らも実施するかどうかは関係がない。

会社が他に実施許諾をせず、全部を自ら実施するときは、他に通常実施権を許諾したならば得られたであろう実施権収入を算定する。その場合、許諾を受けた第三者は、会社が実際にあげた売上げの少なくとも半分の売上げをあげたであろうと想定する。

 

(1)クラッド事件(東京地判昭58)

売上げ30億円(この件ではこれを2分の1にしていない。)、
実施料率2%(6000万円)、
会社との関係での発明の貢献度10% (600万円)

 

(2)ゴーセン事件(大阪高判平6)

売上げ12億円、その2分の1(6億円)、
実施料率2.5%(1500万円)、
発明の貢献度40%(600万円)

 

(3)オリンパス・ピックアップ事件(東京高判平13)

実施料収入5000万円、発明の貢献度5% (250万円)

 

(4)日立光ヘッド事件(東京高判平16)

発明の貢献度20%、
共同研究者の中での原告本人の貢献度70%(1億6000万円)

 

(5)青色発光ダイオード事件1審(東京地判平16)

2010年までの特許期間中の売上げ1兆2000億円と算定、その半分6000億円、
実施料率20%(1200億円)、
発明の貢献度50%(600億円)

一部請求として200億円のみを請求し、その全額が認容された。200億円の裁判所費用が500万円であり、それが中村教授の個人的に調達できる限度であったという。

平17控訴審(東京高裁)で和解により終了した。両者間のすべての特許・ノウハウを対象として6億円プラス利息の2億4000万円。裁判所は、和解の基準として、実施料率を7-10%、発明の貢献度を5%と見た。

 

(6)味の素人工甘味料事件(東京地判平16)

特許期間20年間の会社の実施料収入80億円、発明の貢献度5%(4億円)
共同発明者の間での原告の貢献度50%(1億9000万円)

 

(7)その後の判例では、発明の貢献度は概ね5~10%が多く医薬品について、2.5%とした例がある。

青色発光ダイオード事件で俄かに白熱した職務発明問題も、ここにきて漸く相場が固まってきたようである。

 

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B. 商標

(1)地域団体商標

地域団体商標とは、「地域の名称」と「地域との密接関連性を有する商品又は役務の普通名称」等から構成される商標で、事業協同組合等がその構成員に使用させる商標をいう。(7条の2)
事業団体等は、「正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。」(前同条)
出願受付は2006/4/1に始まり、これまで1000件以上が出願され、550件以上が登録されている。
2007年に四国タオル工業組合(会員約100社)が「今治タオル」を地域団体商標として登録した。

 

・ただし、「商品の普通名称、産地、原材料・・・用途・・・を普通に用いられる方法で表示する商標」に対しては地域団体商標権の効力は及ばない。(26条1項2号)
また、「地域団体商標の登録出願前から、その商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は継続して自分の商標を使用する権利を有する。」(32条の2)

 

博多帯事件 - 「博多地域に由来する製法により近くの福岡県内外の地域で生産された絹織物の和服」を指定商品とし、「博多織」 の地域団体商標の登録をした博多織工業組合が、アウトサイダーの被告の標章「博多帯」の商品「帯」への使用の差止めを求めた。
第1審の福岡地判平24/12/10は、「博多帯」は26条1項2号に該当するので「博多織」の商標を侵害しないとした。
控訴審の福岡高判平26/1/29は、「博多帯」と「博多織」は類似しない、また博多織工業組合が被告の加入を拒んだ事実があり、原告の権利行使は権利乱用である、とした。

 

(2)新商標

・2015/4/1 色彩、動き、ホログラム、位置、音からなる新商標の出願受付が開始され、同日中にそれぞれ190件、144件、102件、32件、3件の出願があった。

 

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