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保険法

A. 生命保険

1. 岩瀬大輔「生命保険のカラクリ」(文春新書 2009/10)

・日本における世帯加入率90%(米50%、英36%、独40%、仏59% )
・国民一人当たりが加入している保険金額1600万円(米580万円、英260万円、独200万円)
・生命保険には、貯蓄性商品と保障性商品(医療保険と生命保険)とがある。
・貯蓄性商品は、現在のような低金利時代において保険会社による運用成績に多くは期待できず魅力はない。
・医療保険は、米国と違って日本では公的保険が充実しており、特に「高額療養費制度」があって1ヶ月当たりの自己負担額が10万円に限定されているので、その必要性は少ない。
・生命保険は、かけ捨ての定期死亡保険が基本であり、原則的にこれだけでよい。実質的な保険料は、統計と数理により計算され、業者によってそれほど差はないが、実際の保険料は、業者によってどれほど販売員の経費を使うかによって大幅に違っており、ネット、通販、共済などはその負担が少ないから保険料はそれだけ安い。
生命保険は、遺族のための生活保障が目的であるから、期間ごとに妻の収入や子供の年齢などにより必要な保険金を見定めて契約しなければならない。

 

2. 後田 亨「生命保険のウラ側」(朝日新書 2010/1)

・かけ捨ての定期死亡保険一本でよい。
・保険会社の保証した(かつての高い)「予定利率」を、いろいろな特約と引き換えに、引き下げるような「契約の転換」に応じないこと。
・医療保険は要りません。
・勤務先の団体定期生命保険に加入するのが最も簡便で安い。団体保険に加入できない場合は、ネット生保や共済が安い。

 

3. 新保険法(平20/6 公布)

(告知義務違反)(4、37、66)(7、41、70)

抽象的または包括的な質問内容により、実質的には自発申告的な告知を求めることになる約款の規定や、保険契約者または被保険者以外の者に告知を求める旨の約款の規定は、無効となる。
告知義務違反と保険事故との間に因果関係のないときは、保険会社の支払義務はある。
保険会社が告知義務違反を理由に契約を解除できるのは、知った時から1か月以内、契約の時から5年以内である。(28④、55④、84④)責任開始から2年、保険事故が発生しないときはもはや解除できない。(約款)
保険媒介者が、保険契約者又は被保険者が告知するのを妨げたときや、告知をせず又は不実の告知をすることを勧めたときは、保険者は契約の解除をできない。(55②)

 

(被保険者の同意)(38、67)

同意は、書面によることを要しない。同意があったことが立証できればよい。同意の相手は、保険会社でも保険契約者でもよいと解されている。

 

(未成年者を被保険者とする生命保険)

15歳以上の場合は、親権者と本人の同意を得る。(実務)
15歳未満の場合は、親権者のみの同意でよいが、業界の自主規制として、他社の契約と通算して1000万円を引き受け限度額としている。

 

(相続人たる保険金受取人)

保険金受取人が被保険者より前に死亡したときは、保険金受取人の相続人の全員が受取人となる(46、75)。その割合は、分割債権に関する民427により、平等割合となる、とする判例がある(最判平5)。ただし、法定相続分の割合とする約款も有効であろう。
受取人が「相続人」とされているときは、法定相続分の割合となる(最判平6)。

 

(危険が著しく減少した場合)

保険料の減額を請求できる。(11、48、77)
傷害保険における被保険者の危険の伴わない職業への変更。
団体生命保険における一定の危険を伴なう業務に従事する従業員の安全な業務への変更など、が該当しよう。

 

(介入権)

保険契約者の差押え債権者、破産管財人、質権者などが解約返戻金を取得するため、保険契約を解除した時は、その解除の効力は1か月遅れる。その間に保険金受取人(親族に限る。)は、解約返戻金相当額を債権者に払って解除の効果を否定することができる(介入権)。(60~62、89~91)
この規定は、新法施行前の契約にも適用される。

 

(団体生命保険)

保険金受取人が会社になっている場合に、その保険金額は、遺族が受け取るべき主契約部分は社内規程の定める死亡退職金を上限とすること、会社が受け取ることのできるヒューマンバリュー特約の部分は主契約の金額または2000万円のいずれか低い方を限度とする、との監督指針である。

 

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B. 自動車保険

1. 自賠責保険

(1)限度額

死亡 3000万円
介護を要する後遺障害 4000万円~3000万円
その他の後遺障害 3000万円~75万円
傷害 120万円まで

 

(2)仮渡金(自賠責に限る。)

死亡 290万円まで
障害 症状により 5、20または40万円

 

(3)内払い(任意保険でもある。)

10万円の損害が証明できる毎。

 

(4)休業損害

5700円/日。それを超える証明があれば1万9000円/日まで認められる。

 

(5)「重大な過失による減額」(過失相殺)

後遺障害または死亡の場合7割以上の過失があるときにのみ、2割、3割または5割の減額をする。
傷害の場合7割以上の過失があるとき常に2割の減額。
以上の結果、7割以上の過失がある場合は、通常の過失割合を適用するよりも自賠責による受領金の方が多くなることがあることに注意。

 

(6)悪意による事故

被保険者の悪意による事故についても、被害者は、自賠責保険に対して被害者請求できる。支払った保険会社は、政府保障事業に求償できる。被害者保護のための制度である。

 

2. 対人賠償保険(任意保険)

被害者が被保険者の一定の近親者の場合、任意保険では保険金は支払われない。
これに対して自賠責では、被害者保護の見地から、「妻も他人」 の判例により、近親者からの請求に対しても保険金が支払われる。

 

3. 人身傷害保険

この保険による支払基準は、裁判による損害の算定基準より低い。
後者の算定基準に達するまでの差額について、自己に過失がないときに加害者に請求できるのは当然であるが、過失相殺されるときにどうなるか、は未解決の問題である。( 判評平21/2/1に詳しい。)

 

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C. 疾病傷害定額保険

約款により、保険者の責任開始以後に発病したものに限られる。被保険者がその発病を知らなかったときも同じとする、のが原則である。実務的には、およそ本人の自覚がなかったときは不適用とする取り扱いもある。責任開始後2年を経過してからの入院には給付を認める特約もある。

 

1. がん保険

約款では次のような限定がなされている。

「責任開始以後保険期間中に、責任開始より前を含めて、初めて悪性新生物(別表)に罹患したと医師によって病理組織学的所見により診断確定されたとき」

 

その結果、

・一般の疾病の場合と違い、医師の診断確定が責任開始後であれば、罹患がそれより前でも保険金支払いの対象となる。
・責任開始前に何らかのがんの診断確定があったときは、責任開始後に診断確定を受けたのが別のがんでも支払対象にならない。
・責任開始前にがんと診断確定されていたときは、がん告知がされていなかったときでも、支払対象にならない。
責任開始後90日以内に診断確定された場合は、保険金を支払わないとすることによって、駆け込み保険加入を防止しようとしている。

 

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