HOME > 会社法

会社法

1 新会社法(平18/5)の概要

(1)「株式譲渡制限会社 」(すべての株式の譲渡につき取締役会または株主総会の同意を要する株式会社。それ以外の会社を「公開会社」という。)

・有限会社の廃止(現存の有限会社の存続は許されるが、新たな有限会社の設立は認められない。存続する有限会社も簡単に株式会社に変更できる。株式会社に変更しても、差し当たり決算書類の公告が必要になるだけである。)
・取締役は一人でもよい。取締役会はなくともよい。
・監査役はなくともよい。
・任期は、取締役が原則2年、監査役が原則4年であるが、定款でそれぞれ10年までの任期を定めることができる。
・取締役会を設置しないときは、株主総会でなんでも決議できることになる。逆にいえば株主総会でなんでも決議しなければならなくなる。
・監査役の代わりに、またはこれに加えて会計参与(公認会計士または税理士)を置くことができる。
会計参与を置いた場合、会計書類を会計参与の事務所で閲覧できるようになる。
・監査役の権限を、定款で、会計監査に限定することもできる。
・資本金は0円でもよい。ただし、純資産額が300万円以上ないと配当は許されない。
・現物出資は、資本金の5分の1以上であっても500万円以下なら検査役の検査不要。
・事後設立には検査役による検査不要。株主総会の特別決議はこれまで通り必要であるが、新設合併、新設分割、または株式移転により設立される会社につき不要。その他の場合でも、営業全部の譲受けの場合と同じく特別決議の要件は緩和された。
・相続または合併による株式の承継にも、会社の承認を要するものと定款で定めることができる。承認しないときは会社が自己株として買い取ることになる。相続の場合、会社への売却は「みなし配当」課税(26%)でなく「譲渡所得」課税(20%)とされ、相続税の軽減となる。

 

(2)組織再編の容易化

・吸収合併、吸収分割、株式交換、事業全部の譲渡等の場合で、大雑把にいえば、対象になる資産が総資産の20%以下の場合においては、株主総会の決議は不要で、取締役会の決議だけでよい。
・合併、株式交換による完全子会社化等の場合で、相手会社の議決権の9割を保有している場合は、株主総会の決議は不要。
・合併差損が発生する場合でも合併は可能。

 

(3)「有限責任事業組合」(日本版LLP)

・法人格はないが、有限責任、内部自治、組合員課税(パススルー課税)が認められる。有限責任とは、出資持分を限度とするという意味である。
(米国のLLPは、有限責任という点から、法律事務所、会計事務所に広く利用される。日本では、これらの者に有限責任は認められない。
英国のLLPは、法人格も認められるから、法律事務所や、会計事務所ばかりでなく デザイン事務所、ソフト事務所などにも使われる。)
・組合員に対する直接課税が認められる。すなわち、利益があるときは、法人税と配当課税の二重課税が避けられ、損失が出た時は、所得税での損益相殺が可能である。ただし、租税回避行為を防ぐ措置が多く定められており、合同会社による法人成りのメリットとの得失を具体的に検討する必要がある。
・出資者は出資持分までの有限責任。設立時に全額を払い込む。労務出資は認められない。財務書類は公開される。
・内部自治が広く認められ、組合員全員が業務執行の責任を負い、組合員の収入は配当であり、給与所得は認められない。
契約をすることにより出資割合とは違う配当の割合も認められる。
・法人格は認められず、取引の名義は、組合名プラス代表者名となる。
・組合の登記の登録免許税は6万円。

 

(4)合同会社(日本版LLC)

法人格があり、有限責任で、内部自治が広く認められ、かつての有限会社よりさらに簡易な会社である。
出資割合ではなく、貢献による損益分配を定めることも可能である。

米国のLLCは、法人でありながら構成員課税が認められ、それが米国においてメリットが大きいので、広く利用されている。日本でもこれに倣った会社制度を作ろうとしたが、課税当局はこれを否定した。しかし日本においては法人成りのメリットが大きいので、広く利用されると思われる。

 

2 中小企業の場合の注意点

現物出資で検査役の調査を必要としない場合

(1)価額が500万円以下(33(10)、207⑨二)

(2)市場価格のある有価証券(33(10)二、207⑨三)

(3)弁護士などの証明(33(10)三、207⑨四)

(4)募集株式の引受人の場合で発行済株式総数の1割以下(207⑨一)

(5)金銭債権の簿価以下(207⑨五 )弁護士 志水 巌 スペーサー

 

相続その他の一般承継の場合の会社からの売渡し請求(174~177)

非公開会社または譲渡制限種類株式
定款の定め
株主総会の特別決議
知ってから1年以内

 

特定の株主からの自己株の取得(160)

株主総会の特別決議(309②二 )
非公開会社では他の株主から「売主追加請求」ができる(169③)

 

属人的種類株式(109②)

非公開会社で剰余金分配、残余財産分配、議決権について、株式数でなく、株主ごとに異なる取扱いのできることを定款で定める。

 

取締役の欠格事由

会社法、中間法人法、金融商品取引法、倒産法等違反の罪を犯し、刑に処せられ、(罰金を含む )その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。
それ以外の法律に違反し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行をを受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除く)
取締役は、破産宣告によっていったん取締役の地位を喪失する(民65 3Ⅱ)が、再度株主総会で選任されればよい。

 

全部取得条項付種類株式(108①七、②七)

100%減資をして再生を目指す場合、次のように利用される。

(1)既存の普通株式を全部取得条項付種類株式にする定款変更をする。(111②)。反対株主には株式買取請求権がある。(116①二 )

(2)株主総会の特別決議で無償の全部取得条項付種類株式の取得の決議をして消却する。すなわち、100%の減資である。(171①、309②三)株主は、取得の価格の決定を裁判所に申し立てることができる。(172)

(3)定款を変更して新たな種類株式をスポンサーに発行する。

 

3 会社分割の実例

(1) 持株会社化
丸井が営んでいたカード事業と小売事業につき、カード事業を既存の完全子会社エポスカードに吸収分割、小売事業につき新設分割により設立する「(株)丸井 」に承継させ、脱け殻になった分割会社を「(株)丸井 」から「(株)丸井グループ」に社名変更して、持株会社にした。

(2)分社化そして株式譲渡
ガイアックスのオンラインゲーム部門を新設分割により100%子会社化。しかるのち株式を他に譲渡。

(3)事業部門の独立法人化
富士通のテクノロジー部門とデザイン部門を分社化。

(4)吸収分割
三菱マテリアルの金線事業を吸収分割により田中電子工業に移転。

(5)グループ内での共同新設分割
「三協・立山ホールディング」(持株会社)の各子会社である「三峡立山アルミ」と「 STプロダクト」のそれぞれのマテリアル事業を 共同新設分割により新設される「 三協マテリアル」に承継させた。両子会社に交付された株式は、剰余金として持株会社に現物配当された。

(6)地域別の小売業の統括
イオンの北海道における小売業をポスワールに吸収分割。ポスワールは、議決権なき種類株式をイオンに交付して、「イオン北海道」に社名変更。

 

▲ ページ上部に戻る